街の歯医者さんの看板って時折みかけますけど、「そんなに気にしたことないわ」という方も多いのではないでしょうか。私もその一人でしたが、2年ほど前にすぐ近所に歯科医院ができ、通りに面していますので、今までよりも目にする機会が増えました。
あの看板には何が書いてあるか、どういう決まりがあるかご存知ですか?ちょっとご紹介しますね。まず、歯科医院の名称、住所、電話番号、院長先生のお名前、診療時間などが書いてありますね。田舎だと、「訪問診療行います」とか、「送迎いたします」などと親切で目を引くサービスについても記載してあります。が、何より大事なのは、診療科目ですね。
この看板に書いて良い科目については医療法という法律で厳密に決められています。看板は医療法上は標榜(ひょうぼう)という名称なのですが、医療法で許されている診療科名は歯科・小児歯科・矯正歯科・歯科口腔外科の4つだけです。もちろん、歯学的あるいは社会通念上で適切と思われる範囲であれば、組み合わせて表示することも可能です。
歯または歯に関係した組織の疾患を治療するのが、歯科。こどもを専門的に診療しますよというのが、小児歯科。顎変形症や噛み合わせの悪いのを矯正によって治療するのが、矯正歯科。いわゆる虫歯や歯周病の治療を除く顎口腔領域の外科処置、つまり切ったり縫ったりを中心として、その疾病全般を扱う診療科が歯科口腔外科です。
この4つが看板に明記することが許されている診療科目です。良く聞く、審美歯科、インプラント科、高齢者歯科、口腔内科というのは看板に掲げることはできませんので、歯科医院内の掲示板に「こういうことも行えます」と書いていたり、ホームページや電話帳に記載したり、歯医者の名称にその文言をつけていたりと、いろいろな工夫によって、医療法に抵触しないよう気をつけながら、歯科医師の得意分野として紹介、提示していることはあります。
これはどれも看板、標榜ではありませんから違法行為ではありません。ですから、看板に書いてないことを治療の一環として望まれるのであれば、歯科医院に直接問い合わせてみることが必要だと言えましょう。